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Life is Beautiful... 昨日、今日、そして明日、、

黄色いリボン

私がアメリカへ来て4年目のことです、、、


1990年8月2日、イラク軍によるクウェートへの侵攻をきっかけに、、、
湾岸戦争が始まりました、、、


当時、どの町の目抜き通りでも、、、
電柱や道路標識に 沢山の黄色いリボンが、、、 
アメリカ国民全員が兵士をサポートする証であり、、、
兵士たちが自分の家に無事戻ることを祈って、、、


当時、私は日本食レストランの鉄板焼きシェフをしていました。


ここの鉄板焼は、日本風に和牛を上品にカットしてエレガントに焼く、、、
のではなく、アメリカ流 ジャパニーズステーキハウス!という感じで
忍者、、よろしく、、、
アクロバティックなナイフさばきでお肉や野菜をカットしたり
熱した鉄板に油を敷いて、そこへ酒をばらまき、、、
大きな火を付け、お客さんを驚かせるなど、、、
エンターテインメントを交えたレストランは、アメリカ人に大人気!
週末ともなると、カップルや家族連れでいつも賑わっていました。


ほぼ、毎週末に私を指名して、ディナーを楽しみに来るアメリカ人の若いカップルがいました。


奥さんの名前はモニカ。 旦那様の名前はスティーブ。
まだ結婚しだての、熱々カップルです。


モニカはエビやホタテなど、ちょっと高めのシーフード・スペシャル・ディナー、、、
ステーブは決まって、一番安い、ペラペラの薄いステーキディナーを食べています、、、


アメリカでは、週末にパートナーとレストランで食事をするというのが暗黙の了解みたいなところがあって、、、


支払いはもちろん男性、、、
毎週末のことなので、経済的にも大変です、、、


それから1ヶ月ほどでしょうか、、、
突然、二人は私の働くレストランへ顔を出さなくなりました、、、


「最近来ないな〜」と考えていた頃、、、


スティーブとモニカは沢山の友人を連れて、食事に来たのです、、、


モニカ:「ひさしぶり! コージー 元気にしてた!?」
私:「ああ、元気だよ!」


私は、温めた鉄板に、いつものように シーフード をのせて、、、
ステーキをのせて、、、


焼き上がった、エビやホタテを、モニカのお皿へ載せようとした時、、、


モニカ:「あ、それはスティーブへ、お願いします、、、」
私:「え! 今日はモニカがステーキで、スティーブがシーフードスペシャル!?」
  「どうしたの!? なにかのセレブレート!?」


モニカが友人たちと顔を合わせて、、、
そして、言いました、、、


「、、スティーブは明日からアフガニスタンへ行くの、、、」


それを聞いた瞬間、、、


私は、彼が湾岸戦争へ出兵するのだと、、、
気がついたのです、、、


「戦争」、、、
日本で平和な時代に生まれ育った私は 、、、
どこか、知らないところでの出来事のように思っていました、、、


私はショックで、鉄板焼きの煙に紛れて、溢れ出る涙を隠しました。


最愛のパートナーを戦場へ送る妻、そして友人達、、、
私が、想像することも出来ないほどに辛いでしょう、、、


でも、彼らは誇り高く、、、毅然として、、、
アメリカ人の強さを感じさせられました、、、


私は子供の頃、、、
きっと自分が大人になる頃には、、、
戦争のない、平和な時代が来るんだと信じていました、、


21世紀のこの時代に、、、
悲しすぎます、、、
でもこれが現実なのです、、、


命をかけて、国を守る、、、
そんな沢山の若者達がいること、、、


いつか、、、争いのない平和な世界が訪れることを、、、
心より祈るばかりです、、、